癒しの里夢農園構想はここから始まった!

  1. 活動を始めたきっかけ
  2. 交流の具体的内容
  3. 地域や産地とのかかわりや学校・消費者団体とのかかわり
  4. 活動の結果として生まれた具体的な成果
  5. 交流活動への思い
  6. 将来的に取り組んで行きたい活動

1. 活動を始めたきっかけ

生産者は自分の栽培した農産物を食べていただき農産物のこだわり的なものを発信したいと思っております。しかしこだわりをもって生産しても多くの生産者との生産物が一緒くたになり、こだわりの農産物がこだわりでなくなってしまう。その事に疑問を覚え自らの生産物を自分の足で営業、販売していかなければと考え本州の市場、生協等を訪問しこだわり農産物をアピールしましたが、受け入れ側としては一定期間、一定量を随時コンスタントに出荷できる農家を希望しており、こちらとの考え方との違いを強く思わされたのです。

その解決策として農園を一般開放し収穫体験が大きな転機となりそれに付随し付加価値の大きな販売に繋がっていったのです。私どもは現在グリーンアスパラを80a(新規40a増反計画)作付栽培、期間は2ヶ月程の露地栽培の短期収穫です。単に収穫、出荷だけで終えているなら収益の面、また多くの方との交流はなかったと思います。その始まりは1989年の市内小学生4年生の社会学習一環での「給食に使用される地場農産物生産者との交流」で70名位の生徒が実際に農園に出向きアスパラを収穫し給食の献立材料として使用、生産者と給食をいただくプログラムでした。子供達のいきいきとした発表は感動と喜びを体験した中から生まれた学びであり、生産者として嬉しい交流の時でありました。これを4年間毎年違う小学校の生徒交流が続けられ、その後、1993年度より安心・安全を第一に考えたアスパラを近郊のホテル、レストランで使用していただくための営業、ホテル宿泊者への食材提供とモーニングアスパラ狩りを提案、宿泊者が朝食前にタクシーで来園、収穫体験、コーヒー提供と生産に関わるこだわりアスパラ栽培等での苦労話し等での交流は最高のもてなしであり食育、スローフードにつながっていったのです。1998年よりアスパラを収穫できる「アスパーランド収穫体験観光農園」としてオープン、観光バスツアー「アスパラ狩り」をメインとして札幌、千歳、釧路より農園に出向いて収穫する事により自然体験、農業の厳しさと食の大切さを自から体験、安心・安全は価格面だけでは計ることが出来ないことの短い食育の話しを通し安全意識を考えさせる時となって行くのでした。2015年よりアスパラ生育、自然環境の変化(天候)等で団体受け入れが困難な状況になっているので中止し、個人、スモールグループを中心とした収穫体験へと変更いたしました。この食育講義を受講された方は20数年延べ2,000名以上になっていると思います。現在も続けられている事は驚きであり嬉しい限りです。

2. 交流の具体的内容

当農園はアスパラ栽培を通しての収穫体験観光農園として開園。最初のころは宣伝をあまりせず開園したといっても名ばかりの状況で、収穫されたアスパラの大半は農協に販売、アスパラは規格により価格が違い、収益も上がらず、労力的にも大変な時期を経験致しました。その後収穫体験観光農園が徐々に新聞、雑誌記事等に掲載、紹介され話題となり毎年春の開園時には多くの方が来園する様になってまいりました。10年前より本州、道内の旅行会社との提携により収穫体験団体ツアーが大型バスで1ヶ月6~8台(1台40名程)乗り入れるようになり、そのため受け入れ準備、特に天候、生育状況に大いに神経を使いました。来園者には収穫体験前の食育講座を設け、作物の成り立ち、収穫に至るまでの栽培管理、食の大切さ、口から入る物は特に安心安全に最も注意をはらうべき事、有機、低農薬での栽培等、消費者の手に届くため多くの管理がなされている大変さを語ります。この講義から食べ物について理解を深めていただき、その後、畑に入っての収穫体験となります。最初は小さな交流の場でありましたが、現在まで開園20年以上過ぎ総数2,000名以上の人々がこの交流の参加者となって下さいました。継続は力なりを実感しているところです。

<現在に至る交流歴>
アスパラ作付
農協新規推奨作物としてアスパラの普及に応答栽培開始する
アスパラ露地栽培は3年間の栽培期間(収入無し)
4年目より徐々に収穫開始
1989年(平成元)
市内小学4生生「給食地場農産物生産者との交流事業」70~80名
毎年違う小学校対象受け入れ 4年間継続(農林省事業)
学校給食での子供たちと生産者との交流、
意見交換(感動体験発表)
1993年(平成 5)
消費者対象の食育講座、スローフード開始
ホテル宿泊者モーニングアスパラ狩り開始
市内母親対象、町内会懇親会 ジンギスカン+アスパラ 昼食
1998年(平成10)
収穫体験観光農園「アスパーランド」オープン
個人、観光客 生協母親学級グループ受入れ
2005年(平成17)
観光バスツアー受け入れ開始 大型バス8台
2008年(平成20)
インターネットHP開設 アスパラ通販
2013年(平成25)
大型バス10台(各40名)
2015年(平成27)
観光ツアー募集中止(小グループ、サークル、個人対象とする)
2016年(平成28)
新規アスパラ苗定植

3. 地域や産地とのかかわりや学校・消費者団体とのかかわり

十勝地方は農業地帯であり、大型機械による農業王国、食料自給率1,100%と呼ばれています。しかし農業地帯でありながら自分の家で生産されている農作物の種類、その特徴、その作物がどのような原料になっているのか、あまり知られていないのが現状です。以前地域の小学生の授業「地域の産業」でアスパラの収穫体験を当農園で致しました。その子どもの家でもアスパラ栽培をしている農家もありましたが、実際にそのアスパラに触れた事がなく収穫したことがない子が大半で驚きました。農産物を生産している農家の子どもでさえこのような状況ですからまして農業とかかわりのない方々には到底理解できないかも知れません。生産者は自から垣根を取り払い消費者へ歩みより、近づき農業理解を得ていただく努力をしなければならないと考えるのです。その橋渡しが収穫体験での農園開放と思っております。当農園は来訪される全ての方に食育講座を通し生産者の思い、安心・安全な農産物生産の取り組みを説明、その後収穫体験へと移っていきます。来園者の全ての人が消費者であり、何か目的を持って来られております。その目的の中に当農園での体験が入っているのでしょう。この体験で一人でも多くの方が何かを感じ、考える時となる場となってほしいと強く願っております。

4. 活動の結果として生まれた具体的な成果

農家は土壌汚染、病気、踏圧等の恐れや心配があるので自分の畑に人を入れたがりません。しかしあえて足を踏み入れていただく事は大きな決断となります。口に入る食べ物がどの様に栽培され、成長し、収穫されているのかを自ら農村に出向き、体験する。ただ単に店頭に野菜が並んでいる見栄えの良い物を購入、虫食いも、曲がりもない綺麗な形の状態に置かれている野菜になれてしまうのではなく疑問を感じ考える人になってほしいと願うのです。当農園では栽培畑で収穫体験を通じ多くの方に考え、学ぶ時を与える場を提供させていただいております。私たちが食するものは自然の営みと栽培する人の働きによって生産されていること、収穫物には傷や、曲がり、大小のものもあり、しかし味、栄養には変わりがないとの事を考えさせ、知らせ。学びを持っていただくため食育講座が設けられています。収穫体験に小さな子どもを連れ来園される親子の姿は微笑ましく感じ、小さい子供の収穫体験は良い影響を与えると思っています。アスパラは取り扱いが悪いと折れ、傷つきやすい作物です。人間でもそれは同じように弱く、傷つき、折れやすいものです。自然界を通し見、教えているのです。その事を親がアスパラの持ち方、切り方、集め方を愛情持って教えていくなら子どももそれなりに覚えて行くのです。恐る、恐る、ナイフを使う子も上手に収穫が出来た時に親の顔を見て誇らしげに収穫し喜んでいる姿にはこちらも嬉しくなるのです。この体験を通していのちの尊さを少しでも理解していただけるなら最高の野外授業となるのではないかと思っております。

5. 交流活動への思い

アスパラを栽培して27年以上が経過、平成元年から市内小学生(1校70名)と生産者との給食交流から始まった収穫体験、子供たちの顔の輝き、感動、喜びが伝わり、これを広げていきたいという思いから収穫体験をメインにし平成10年より開園。本州、道内の旅行会社とのタイアップにより収穫体験団体バスツアーを受け入れ、同時に多くの来園者に食育講座を通して食の大切さをアピールしてまいりました。バスの到着での顔と帰りの顔とはまったく違っているのが不思議です。また飛行機に乗り込む前にレンタカーで立ち寄り、「帯広はお菓子が有名だが、やはりアスパラ狩りした新鮮な旬の物をお土産にしたい」収穫後「家族へ最高のお土産ができたよ!」と、その言葉のなかに誇らしさと嬉しさ、生産者に対する感謝の心がにじみ出ているのを感じるのです。帰られたら収穫した新鮮なアスパラ料理が出され家族の楽しい団らんの交わりが見えてくる様です。多くの方が収穫体験を通して生産者と本人と家族との繋がりがさらに強く結ばれていくのを感じます。全国から「美味しかったよ!」「また行くから頑張ってください」その言葉が年を重ねている私たち夫婦に大きな励まし(交流を通してのコミ二ュケーション)となって、ここまで続けられた原動力となっているのです。小さな農園、大きな感動と喜び、驚き、癒しを与える農園として今年も来られる方を思いつつ春を待ち焦がれているこの頃であります。

6. 将来的に取り組んで行きたい活動

当農園は個人経営であり、その規模は小さいものです。やはり農業は人が生きていくために必要な食料を生産、提供しているとの思いを持つ時、そこに限界を感じるのです。顔の見える安心安全な農産物を生産する農園として何をなすべきか、そのための創意工夫、自助努力、付加価値を高めるためにと考える時、生産した農産物を多角的経営により、加工・販売する6次産業化が必要と考えさせられます。長年培ってきた収穫体験観光をメインとして多くの方を呼び込み、十勝は何も見せる観光がない通過型観光地と言われてきました。震災後、食べ物、生きる、いのち、きづな、の価値観の変化、高速道路の充実により都市と農村の距離が近づいたように思われます。それは自然回帰であり、原点の命を育む農業にスポットが当てられてきたように強く感じさせられる。ノーベル賞受賞の大村智教授は土の中にいる私たちの目には見えない微生物(放線菌)より有用な治療薬となる菌を発見し新薬を開発、多くの病気に苦しむ人々を助ける結果になったのです。自然の中にこそ私たちの求める有用なものがあることに気付くことこそ大事ではないだろうか。都会での競争社会は、強い者、能力のある者、仕事の出来る者、会社に貢献している者が存在感、重要視されている。それに該当しないものは落ちこぼれ、能力がない、失敗の烙印を押されてしまうような社会、ゆとり、癒しを求めても仕事に追われ、肉体の疲れが精神的な疲れとなり生きる希望を失い、家庭、夫婦関係が崩壊、いのちそのものまで喪失してしまう社会全体にそれが広まっているように思えてくる。その問題、原因を取り除くため自然界は有用な癒しを与えてくれるのである。自ら畑に出向き、見て、触れ、聞き、食し、感じとる、五感で、そこでしか味わえないもの記憶に残るものを提供する場は自然豊かな農村にあると思う。感動、喜び、を与える。それがいのちに触れ、育んでいく大切なものだと思わされる。十勝は農業王国でありその良さを十分に発揮、発信できる地であると思っている。収穫体験を通して消費者が持っていたイメージを変える場でもある。そして食の安心・安全に対する知識、理解を深めていただくだけではなく、クリーン農産物を加工し、レストラン、民宿で提供し味わっていただき、交流を深め、さらに農村、農園のファンとなりリピーターとして足を運んでいただける関係が築かれるなら最高の収穫ではないか。古い農業感覚・体質を打破し新しい脳業への転換が叫ばれている現在、TPP問題で農業の危機が叫ばれ、生産者はさらに過疎化、高齢化、後継者不足と自信喪失になっており負のイメージを抱えている。それを払拭しなければならないと考える。「汗する者が報われる」これをチャンスとして捉え、若者も高齢者も共存できる交流コミニューケーションを広げる(株)農業生産法人化と収穫体験観光農園をプラスした地域に活力を与える「憩の里夢農園建設」を目指しそれに向かって進んでいかなければと考えている。ただ収穫体験で終わるのではなく、少しでもとどまる滞在型農園、憩い、癒しの空間を提供したいと考えている。現在タワーサイロ(家畜飼料保存)の壁画、ツリーハウスの建設が完成した。以降は収穫した収穫アスパラトッピングのピザ提供のピザ窯造り、心和ますミニバラ庭園造成、日高山脈を望みつつ、星空を見上げる露天フロ建設を考えている。さらに農業体験型宿泊所、高齢者&他世代交流デイケア施設、通所心身障がい者就労支援農園、新鮮農産物提供産直広場、農産物栽培提供レストランを考えている。夢と希望を与える農園を目指しているが、この構想の実現に向け多くの方の協力によって進められるのが私の思いである。